ピサの斜塔

2017-04-20

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 ファナックUSA初代社長をつとめられた遠藤尚雄さんが、たしか「英語は独学に限る」という本の中で、英米の高校生が使う通信教育用のテキストを読むことを薦められていました。ピサにある傾いた塔が「ピサの斜塔」と呼ばれていることはだれでも知っているが、英語でどう言うか、知っている人は多くはない。語学教材ばかりに頼って勉強していると、英米人が常識としているような定型的な表現に死角ができる、教科書はそういう穴を埋めるのに最適の読み物である、という趣旨だったと思います。

 オランダ語の場合、そもそも日本人に適した語学教材自体がほとんどみあたらない現状なので、状況は大きく異なりますが、ある程度まで勉強が進んだら日常的によく口にする定型的な表現を調べて記憶しておく必要がある点では、英語とまったく同じです。

 さて、「ピサの斜塔」はオランダ語では何と言うでしょうか。

 答えは de Scheve toren van Pisa です。

 scheef は、「斜めの、傾いた」という意味の形容詞です。ここでは toren がde名詞であるため、語尾にeがついてscheveと形を変えています。同義語は schuin 反対語はrecht です。

 最近ニュースを読んでいて出会ったこのたぐいの語としては、het Vrijheidsbeeld「自由の女神」、de Grote Muur「万里の長城」などがあります。

 みなさんもどんどんオランダ語を読んで、こういった語を自分の語彙リストの中に追加していってくださいね。

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彼はプールに泳ぎに行きました~オランダ語でwezenを使う場合

2017-04-17

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 オランダ語の受講生から以下のような質問を受けました。

 オランダ人の友だちが Hij is in het zwembad wezen zwemmen. と言った。前後関係から考えて「彼はプールに泳ぎに行った」という意味らしいが、はっきりしなかったので紙に書いてもらったら、上記のような文だった。そのオランダ人に、「このwezenという語は何なの?」と尋ねたが、オランダ人曰く「ややこしいので、ぼくには説明できない。日本人の先生にオランダ語を習っているのなら、その人に聞きなさい」といわれた。

 なるほど。この文は初級の人にはわかりにくいかもしれませんね。結論から言うと、この wezen はzijn の異形で、意味はzijnと同じですが、基本的にこの構文でしか用いられません。

 さて、上記の文を理解するには、まず、zijn+動詞の不定形(英語でいう動詞の原形)が「~しに出かけている」という一種の熟語的な表現であることを知っていなければなりません。

 清水誠先生の「ゼロから話せるオランダ語」(三修社)のP72に次のような例文が載っています。
 Ze is even koffie halen. 彼女はちょっとコーヒーを取りに行っています。

 受講生が質問した文は完了過去形(英語の現在完了形)ですが、これを現在形に戻すと、
Hij is in het zwembad zwemmen. 彼はプールに泳ぎに行っている
となりますから、Ze is even koffie halen.と同じく、zijn+動詞の不定形の構文であることがわかるはずです。

 さて、次にHij is in het zwembad zwemmen.を完了過去形にして、「彼はプールに泳ぎに行きました」という意味にするにはどうしたらよいか、考えます。
 この文の場合、zijnの変化形であるisを完了過去にするわけですが、zijn動詞を完了過去にするときは助動詞にhebbenではなくて、zijnを使うのでした。しかも、この文にはisとzwemmenの2つの動詞がありますので、こういう場合、オランダ語では過去分詞形を使わないで2つの動詞のいずれも不定形(原形)にして文末に移動させるルールになっています。従って、これらのルールを機械的に適用すると、
 *Hij is in het zwembad zijn zwemmen. となるなずです。
しかし、このように2つの動詞不定形が連続する場合、zijnの代わりにwezenが用いられます。
 従って、冒頭の質問あった文、Hij is in het zwembad wezen zwemmen.という文章になるのです。
 いくつかのルールが適用されるので、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、一度納得できればそんなに難しい文章ではありません。

 ちなみに、wezenは現在では基本的に上記の構文でしか用いられませんが、zijnの命令形weesや、過去分詞形geweestは形から見てこのwezenの形から派生したものです。
 


カープが9対5でジャイアンツに勝ちました~オランダ語の野球表現

2017-04-13

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 オランダにも野球のチームがあるのをご存じですか。例えば、ロッテルダムにはNeptunusという1900年設立の強豪チームがあります。チーム名は英語のネプチューン、ローマ神話の海神に由来するのでしょう。大航海時代以来の海洋国家オランダらしい名前だと思います。
 ホームスタジアムの収容能力が3000以下ですから、プロ野球といえるのかどうか微妙ですし、オランダでもそれほど広く知られた存在ではないようです。WBCでオランダの試合を見ましたが、選手たちはかなりの実力でした。これから人気が出てくるかもしれませんね。

 さて、日本ではペナントレースが始まり、カープが快進撃を続けています。昨夜も9-5でジャイアンツを破りました。「カープが9対5でジャイアンツに勝ちました」をオランダ語で何と言うでしょうか。
 「勝つ」と聞くと、まずwinnen(英win)を思い浮かべますが、winnenは普通自動詞で使われますし、他動詞の場合もeen wedstrijd winnenのように「試合」を目的語に取りますので、「ジャイアンツに勝った」のような文ではうまくいきません。こういうときにはverslagen(英defeat)を使うとよいでしょう。未完了過去形で書くと、

 De Carp versloegen de Giants met 9-5.

 となります。

 注意をいくつか。チーム名には定冠詞deをつけます。Carpは英語で単複同形の名詞ですが、ここでは当然複数形なので動詞はversloegではなく、versloegenとなります。verslagenの活用は大丈夫ですか。verslagen-versloeg-verslagenですよ。met 9-5の数字は、ハイフォンは無視してmet negen vijfのように読みます。

 カープは現在首位です。De Carp staan nu aan de top.

 順位表は(おそらく)de klassementです。

 いまのところ、本格的な和蘭辞典が存在しないので、わからない表現については最終的にはオランダ人に聞くしかありません。ところが、野球はオランダではマイナーなスポーツなのでオランダ人にもわからないことが多いですね。以前、「キャッチボールする」をどういうか何人かのオランダ人に尋ねましたが、だれも知らない。こちらも説明するのに一苦労でした。
 かなりたってから、映画を見ていたら偶然字幕にvangbal spelenという表現が使われていて、やっと長年の謎が解けました。





 

 

ベルギーのオランダ語(1)

2017-04-07

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本当に便利な世の中になりました。ほんの20年前のことですが、私がオランダ語を勉強し始めたころには、オランダ語の新聞や雑誌を入手するのは一苦労、といういうか事実上不可能でした。最近は、インターネットで日々最新のニュースを読むことができます。

以下は、フランスの極右政党党首であるルペンに関する記事です。ここに見慣れない単語が出てきます。

Sommige peilingen geven aan dat ze de eerste ronde op 23 april zal winnen,
maar een gelijkaardig scenario bij de tweede ronde op 7 mei lijkt niet zo evident.

「いくつかの世論調査では、彼女(ルペン)が4月23日の第1回投票を勝ち抜くとされているが、5月7日の第2回投票でgelijkaardigなシナリオになるかは不透明だ」

単語の組成(gelijk等しい+aardig類似や特徴を表す形容詞語尾)からみて、「同じような」という意味であることは容易に推測できますが、見たことのない単語だったので、念のために日常的に使っている小さな蘭蘭辞典をひきました。しかし出ていません。次いで講談社のオランダ語辞典を調べましたが、これにもない。
変だなと思いながら、少し分厚いプリスマの辞典(Prisma Handwoordenboek Nederlands)にあたると、これにはちゃんと見出し語として掲げられていました。gelijksoortig, soortgelijkと説明されているので、意味は推測したとおり「同じような」「同種の」だと判明しましたが、辞書の記載を見て、なぜ中小の辞典に見出し語として取られていないのかという謎も解けました。
 gelijkaardigにはBNというラベルがついていました。BNというのはベルギーで使われるオランダ語(フラマン語)のことです。だから、「オランダのオランダ語」中心の辞書には出ていなかったのですね。

私はオランダのグーグルで検索して、おもしろそうな記事をサーフィンしていたので気がつきませんでしたが、冒頭に掲げたルペンの記事は確認するとVRT(ベルギーのNHK)のサイトのものでした。

私はこれまで目にしたことのない単語だったので、約5,000語の単語を分野別の頻度で示した最新のリストである A frequency dictionary of Dutch, Routledge で調べてみると、新聞に頻出する単語の816位、インターネット上に頻出する単語の449位にランクされていました。すなわち、非常に頻度の高い重要な単語だと言うことです。

これには考えさせられました。ベルギーにはEUの本部が置かれており、政治的、経済的な重要性が高まっている場所です。たとえば、日本の新聞社・通信社でオランダに記者を送っているのはごく少数ですが、ほとんどの社がブリュッセル(ベルギー)に本格的な支局を構えています。将来出版される蘭和辞典では、ベルギーのオランダ語にも十分配慮すべきでしょう。

花粉が飛んで目がかゆい

2017-04-06

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毎日、犬の散歩に出るのですが、最近はなるべく午前8時ごろにすませるようにしています。花粉症なので、日中不用意に外出すると、目がかゆくなってしようがありません。

オランダ語で花粉は de pollen といいます(必ず複数形で使います)。

Er zijn veel pollen in de lucht. (花粉がたくさん飛んでいる)

それでは、「目がかゆい」はどう言ったらよいでしょうか。

かゆいという感覚は、de jeuk です。

Ik heb jeuk aan mijn ogen. (私は目がかゆい)

前置詞に aan を使うことに注意してくださいね。


プロフィール

hiroshi

Author:hiroshi
久保谷洋(くぼたに・ひろし)
ジャーナリスト、翻訳家。
元朝日新聞東京社会部記者、元朝日学生新聞社出版担当。タイトルはブログを始めたときの肩書きが「出版担当の役員」だったときにつけたものです。ある程度定着しているので出版担当をやめた後も、そのままにしています。2016年4月~外務省研修所非常勤講師(オランダ語担当)。

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