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加計学園問題、文書確認の文科省職員は国家公務員法違反(守秘義務違反)にはならない

2017-06-17

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 加計学園問題で、文書の存在を証言した文部科学省職員について、義家文科副大臣が国家公務員法違反の可能性を示唆しました(→朝日新聞の記事)。この答弁は公益通報制度との関連で述べられたものですが、今回のケースはそれを待つまでもなく守秘義務違反にはあたりません

 何が「秘密」にあたるかについては、確立した最高裁判例があります(徴税トラの巻事件)。「秘密とは、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるもの」とされています。つまり(1)非公知(一般に知られていない)で、かつ(2)実質秘であるという2つの条件を満たすものだけが「秘密」とされるのです。

 今回の事例では、文科省職員が文書の存在をメディアに対して確認した時点では、それらの文書は与野党の政治家や霞ヶ関の官僚、主要なメディアの間に広く流布していました。従って、第1の非公知の要件を欠いています。公知の文書の存在をコンファームしても守秘義務違反に問われることはありません(この点、前川喜平・前文科事務次官が朝日新聞の単独インタビューで「文書は本物だ」と述べたことについても同様のことが言えます)。

 なかには、「文書が存在すること自体が秘密なのだ」という人がいるかもしれませんが、これも無理ですね。なぜなら、情報公開法は行政機関が文書の存在を隠すことを認めていないからです。

 文科省を含む行政機関に対しては、だれでも(国民も外国人も)行政文書の開示を請求することができますが、行政機関は文書を公開しない場合には、必ず「不開示」(文書はあるけれど、公開しない)か「不存在」(そもそもそういう文書はない)と答えなければなりません。結局、文書があるか、ないかは情報公開請求すればわかってしまう仕組みになっているのです(民主国家においては、文書の内容を例外的に非公開にすることはできても、文書の存在自体を隠すことはできないのです。政府の説明責任の観点から言って、当然のことです)。従って、行政文書の存否は原理的に秘密になり得ません。

 もちろん例外はあります。存否応答拒否情報と呼ばれるものですが、これは極めて限られたケースでしか認められません。例えば、ある人がAさんの前科記録を警察に情報公開請求したとします。前科記録は個人情報ですから一般的には開示はされないでしょう。しかし、警察が「不開示」とか「不存在」の決定をしたら、どうなるでしょうか。「不開示」なら、何だかはわかりませんがAさんには前科がある、「不存在」ならAさんには前科がないとわかってしまいますね。こういう極限的な場合に限り、情報公開法は「あるともないともいえない」という回答を認めているのです。

 さきほど、松野文科大臣の会見を見ていたら、3つの文書については「存否を明らかにできない」としていました。しかし、存否応答拒否情報は上記のように極めて限られた場合にしか認められていません。加計学園のようなケースでそういう性格の情報が本当にあるのか、はなはだ疑問です。文書の存在を確認した文科省職員を守秘義務違反に問うために巧妙に仕掛けられた「わな」かもしれません。一線の記者の皆さんには、本当に存否応答拒否できる情報なのか、文科省を厳しく追及してほしいと思います。

 それでは、「総理のご意向」文書を最初に朝日新聞に持ち込んだ人はどうなるのでしょうか。

 ご心配なく。情報提供者がどういう人だか、わたしは知りませんが、その人が罪に問われることは絶対にありません。取材した記者が絶対に情報源を明かさないからです。これは法律論と言うよりも、事実の問題です。

 古い話(1950年)ですが、朝日新聞の石井記者は裁判で情報源を明かすよう求められたとき、宣誓自体を拒否しました。彼はそのために有罪となりましたが、ニュースソースは決して漏らしませんでした。

 これは朝日新聞に限ったことではありません。まともな新聞やテレビの記者であれば、ネタ元をしゃべるようなことは決してしません。たとえ、それを理由に処罰されるようなことがあってもです。それがジャーナリストとしての矜恃というものでしょう。

 ちなみに、情報源の秘密は、新聞社内でも極めて厳格に管理されています。私は社会部で記者をしていた1980年代末から90年代、1面トップ級のスクープ記事を10本以上書きましたが、デスクから具体的なネタ元を尋ねられたことは一度もありませんでした。ネタ元は基本的に取材した記者しか知らないのですから、漏れる恐れなど、最初からないのです(いまは記者に対する管理が強まっているそうですから、デスクがニュースソースを聞くこともあるのかもしれませんが、いずれにせよそれが厳重に管理されていることはいうまでもありません)。
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プロフィール

hiroshi

Author:hiroshi
久保谷洋(くぼたに・ひろし)
ジャーナリスト、翻訳家。
元朝日新聞東京社会部記者、元朝日学生新聞社出版担当。タイトルはブログを始めたときの肩書きが「出版担当の役員」だったときにつけたものです。ある程度定着しているので出版担当をやめた後も、そのままにしています。2016年4月~外務省研修所非常勤講師(オランダ語担当)。

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