ベルギーのオランダ語(1)

2017-04-07

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本当に便利な世の中になりました。ほんの20年前のことですが、私がオランダ語を勉強し始めたころには、オランダ語の新聞や雑誌を入手するのは一苦労、といういうか事実上不可能でした。最近は、インターネットで日々最新のニュースを読むことができます。

以下は、フランスの極右政党党首であるルペンに関する記事です。ここに見慣れない単語が出てきます。

Sommige peilingen geven aan dat ze de eerste ronde op 23 april zal winnen,
maar een gelijkaardig scenario bij de tweede ronde op 7 mei lijkt niet zo evident.

「いくつかの世論調査では、彼女(ルペン)が4月23日の第1回投票を勝ち抜くとされているが、5月7日の第2回投票でgelijkaardigなシナリオになるかは不透明だ」

単語の組成(gelijk等しい+aardig類似や特徴を表す形容詞語尾)からみて、「同じような」という意味であることは容易に推測できますが、見たことのない単語だったので、念のために日常的に使っている小さな蘭蘭辞典をひきました。しかし出ていません。次いで講談社のオランダ語辞典を調べましたが、これにもない。
変だなと思いながら、少し分厚いプリスマの辞典(Prisma Handwoordenboek Nederlands)にあたると、これにはちゃんと見出し語として掲げられていました。gelijksoortig, soortgelijkと説明されているので、意味は推測したとおり「同じような」「同種の」だと判明しましたが、辞書の記載を見て、なぜ中小の辞典に見出し語として取られていないのかという謎も解けました。
 gelijkaardigにはBNというラベルがついていました。BNというのはベルギーで使われるオランダ語(フラマン語)のことです。だから、「オランダのオランダ語」中心の辞書には出ていなかったのですね。

私はオランダのグーグルで検索して、おもしろそうな記事をサーフィンしていたので気がつきませんでしたが、冒頭に掲げたルペンの記事は確認するとVRT(ベルギーのNHK)のサイトのものでした。

私はこれまで目にしたことのない単語だったので、約5,000語の単語を分野別の頻度で示した最新のリストである A frequency dictionary of Dutch, Routledge で調べてみると、新聞に頻出する単語の816位、インターネット上に頻出する単語の449位にランクされていました。すなわち、非常に頻度の高い重要な単語だと言うことです。

これには考えさせられました。ベルギーにはEUの本部が置かれており、政治的、経済的な重要性が高まっている場所です。たとえば、日本の新聞社・通信社でオランダに記者を送っているのはごく少数ですが、ほとんどの社がブリュッセル(ベルギー)に本格的な支局を構えています。将来出版される蘭和辞典では、ベルギーのオランダ語にも十分配慮すべきでしょう。
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プロフィール

hiroshi

Author:hiroshi
久保谷洋(くぼたに・ひろし)
ジャーナリスト、翻訳家。
元朝日新聞東京社会部記者、元朝日学生新聞社出版担当。タイトルはブログを始めたときの肩書きが「出版担当の役員」だったときにつけたものです。ある程度定着しているので出版担当をやめた後も、そのままにしています。2016年4月~外務省研修所非常勤講師(オランダ語担当)。

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