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獣医学部新設、文科省に「挙証責任」という珍説~加計学園問題

2017-06-18

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 最近、おかしなことを言う人がいます。加計学園問題で、閣議決定された獣医学部新設の4条件の「挙証責任」は文科省にあり、文科省はその責任を果たせなかったのだから、獣医学部を新設することになっても仕方がないのだ、というのです。

たとえば、元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授。「挙証責任」という言葉は使っていませんが、同趣旨に元経産官僚の岸博幸・慶応大学教授

 こんなばかげた主張に同調する人はさすがにいないだろう、と思っていましたが、今日の参院集中審議を見ていたら、日本維新の会の高木佳保里議員や山本幸三地方創生相まで同じような趣旨のことを言っていました(→該当部分のビデオ、11分あたりからご覧下さい)。しかし、もちろんこのような議論はまったく成り立ちません。

問題となっている閣議決定を見てましょう(番号は筆者)

獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討
 (1)現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、
 (2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、
 かつ、
 (3)既存の大学・学部では対応が困難な場合には、
 (4)近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、
全国的見地から本年度内に検討を行う。

 この閣議決定は獣医学部の新設を決定しているわけではありません。(1)から(4)の条件が満たされるかどうか、2016年3月までに調べて、もし満たされるのであれば獣医学部が新設できるようにする、といっているだけです。ほかに解釈の余地はありません。

 ところで、挙証責任というのは、例えばAさんがある事実を立証できないとき、その立証できない不利益をAさんが負うということです。ですから、この4条件が満たされることを挙証する責任が文科省にあるというのであれば、文科省は4条件を立証できなかったのですから、獣医学部の新設は認められない、という結論になるはずです。

 「挙証責任論」を読むと、まず、獣医学部新設ありきなのです。だから、4条件を満たしていないことの証明を文科省に求め、文科省が4条件を満たしていないことを証明できないときは、4条件は満たされたことになるという、まったく逆立ちした、オカルト的な議論になっているのですね。

 ひょっとしたら、4条件に関する主務官庁が文科省だということを「挙証責任」という言葉で表現しているのかもしれません。山本大臣もそのような発言をしていました(さすがに、松野文科相は否定)。私はこの問題のとりまとめ役(主務官庁)は内閣府だと思いますが、仮に主務官庁が文科省だったとしても、結論は同じです。

 話をわかりやすくするため、閣議決定の第4の条件(ひらたくいうと、獣医が足りない、あるいは足りなくなる)にしぼって考えてみましょう。

 文科省が主務官庁であれ、なんであれ、獣医が足りないか、余っているかについて自分で調査することなどできません。これを無理に押しつけるのは、厚生労働省に高速道路の利用通行状況を調べろとか、警察庁に景気動向を調べろとか言っているのと同じことです。文科省は当然、獣医師を所轄する農水省に獣医が足りない、あるいは足りなくなるというデータがあるなら出してくださいと頼みます。ところが、農水省からそんな資料は出てこない。もともと(4)を示唆するようなデータは(でっち上げでもしない限り)存在しないのですから仕方がありません。そこで、文科省は(4)が満たされないと判断しました。

 問題はここからです。ふつうは条件が満たされないのだから、「新設は認めない」「当面は見送り」などという結論になるはずですが、山本大臣の言葉の端々から推測するに、主務官庁ともあろうものがデータをそろえられなかったのだから、文句を言わずに獣医学部の新設を認めろ、という筋道で事態は進んだらしいのです(上記の「挙証責任論」と同趣旨の論理と思われます)。

 もちろん、こんなばかな話はありません。だから、当然文科省は抵抗します。ところが獣医師が足りないなどというデータなどどこにもないのだから、内閣府は論理的に文科省を説得でません。そこで、「総理のご意向」により強行突破をはかった、というのが真相だと思われます。

 前川喜平・文科事務次官はこういう事態を「行政がゆがめられた」と表現したのでしょう。

 高橋洋一、岸博幸の両氏だけでなく、維新の会の高木佳保里議員や山本幸三地方創生相までが同じ時期に同じ趣旨の発言をし始めたことを考えると、この珍説を考え出した仕掛け人がいるのかもしれません。しかし、繰り返しますが、これはばかげた理論です。

 
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テーマ : 政治のニュース
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プロフィール

hiroshi

Author:hiroshi
久保谷洋(くぼたに・ひろし)
ジャーナリスト、翻訳家。
元朝日新聞東京社会部記者、元朝日学生新聞社出版担当。タイトルはブログを始めたときの肩書きが「出版担当の役員」だったときにつけたものです。ある程度定着しているので出版担当をやめた後も、そのままにしています。2016年4月~外務省研修所非常勤講師(オランダ語担当)。

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