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ユニークな折りたたみ式絵本――フェリックスの空からみた町

2010-12-10

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 これまではヒド・ファン・ヘネヒテンのお絵かき帳・らくがき絵本の話をしてきました。今日は、私が翻訳したもう1冊の絵本「フェリックスの空からみた町」
(マーイケ・コーレ、アーメレンツケ・コープマン著)について書きます。

 この原著を見つけたのも、2010年7月の東京国際ブックフェアでした。ベルギーの出版社・クラビス社のブースで担当の方に「日本にはないようなめずらしい本はないですか」と尋ねたところ、この本を紹介されました。

 ページをめくると、主人公のフェリックスが相棒のクマくんと自分の住む町の上空を飛行機で飛ぶという設定になっています。空からみた町は、地上からの風景とは全く違って見えます。その中に隠れている人や物を見つける趣向です。

 本の一部が折りたたみ式になっており、折り込まれた状態では空からの風景と、フェリックスがクマくんに風景を説明する文章が表示されます。折りたたみ部分を開くと、さがすべき人や物のイラストが出てくる仕組みです。→見本で中身をみる

 こう申し上げると、「ウォーリーをさがせ」などと同じではないか、といわれるかもしれませんが、2つの点でコンセプトが全く異なります。

 第1に、空からみた町・風景がモダンアート風の抽象画だということです。他の「○○をさがせ本」によくあるような平板なイラストではありません。新進のビジュアルアーティストであるコープマンの抽象画と、コーレの具象的なイラストの組み合わせが絶妙なんですね。

 この本を手に取った子どもは、風景の中に埋もれた人や物をさがしていくうちに、「ああこの太い線が道なんだな」「この水色の部分が川だ」と想像をめぐらせることになります。子どもがモダンアートをじっくり見る機会などほとんどないはずですが、この本では抽象化され、デフォルメされた絵画を自然に「鑑賞」できる仕掛けになっているわけです。

 第2に、さがす対象となっている人や物のイラストは、地上で見えるとおり横からの図柄になっていますが、空からみた風景の中では、当然、これが真上からみた形で描かれています。ですから、例えば、ひさしのある帽子をかぶっている人は空からは帽子しか見えませんし、建物は屋上しか見えません。

 子どもたちは知らず知らずのうちに、平面的な抽象画から立体的、空間的な人や物を想像するよう仕向けられているのです。小学生向けの美術教育プログラムの作成にかかわったマーイケ・コーレならではの優れたアイデアだといえましょう。

 主人公のフェリックスと相棒のクマ君はなかなかかわいらしいキャラクターです。コープマンのモダンアート風の抽象画は、それ自体非常に芸術性の高い作品です。

 ぜひ、書店で手に取ってみていただきたいと思います。
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テーマ : 本に関すること
ジャンル : 本・雑誌

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プロフィール

hiroshi

Author:hiroshi
久保谷洋(くぼたに・ひろし)
ジャーナリスト、翻訳家。
元朝日新聞東京社会部記者、元朝日学生新聞社出版担当。タイトルはブログを始めたときの肩書きが「出版担当の役員」だったときにつけたものです。ある程度定着しているので出版担当をやめた後も、そのままにしています。2016年4月~外務省研修所非常勤講師(オランダ語担当)。

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